山藍紫姫子というのは、いわゆる「耽美」ジャンルでは有名な作家です。
鈴は、この世界に足をつっこむまでは、そういうものの存在すら知らなかったので、
もちろん山藍紫姫子も知りませんでした。
山藍紫姫子は、「趣味が塩沢兼人」と言い切るくらいの方で、彼女の作品がドラマCDに
なるときには、必ずといっていいほど兼人さんが重要な役で出演されます。
だから、自然と、そういう作品が増えてしまう。のかな。それとも、
最近のドラマCDのマーケットは、こっちの傾向のほうが有力なのかもしれません。
山藍紫姫子の作品自体は、好きなものも嫌いなものもあります。
CDになったものの原作に興味があって読む、という動機で読んだものが大半です。
スタンレー・ホークの事件簿 -AMBIVALENCE・葛藤- 山藍紫姫子の世界III
ドラマ 東芝EMI TOCT-9393 96.5.29発売 2800円
ジン役の兼人さんの出番は、多くはありません。トラック5の濡れ場と最後だけ。
でも、とても存在感はあるので、さすがです。
最後の、自分の留守中に事件にかかわったアリスティアを迎えに来て、
怪我しているのを見つけて頭に血がのぼってスタンレーにつっかかるジンが、
とってもおちゃめでかわいい。スタンレーに対抗心燃やしちゃって。
全編登場するのは、アリスティア役の速水奨と、スタンレー役の中田和宏。
この中田和宏が、オスカー(「アンジェリーク」に出てくる赤毛の、炎の守護聖。
声は中田和宏ではなくて堀内賢雄)と、感じがとてもよく似ています。
声は、もう少し低くて重ければ堀内賢雄になってしまいそうだし、
しゃべり方のテンポや間のとり方が、オスカーと同じ。
聞いていると、スタンレーは赤毛のような気がしてきました。
速水奨は、ジュリアス(「アンジェリーク」の光の守護聖)そのままでした。
速水奨の声って、響きに張りがあるのね。
普通張りのある声っていうと、上のほうに広がる感じなんだけど、速水奨は、
底辺のほうにずずーんと広がる張りがある。
兼人さんは、クラヴィス(「アンジェリーク」の闇の守護聖)とは違う感じでした。
話自体は、別に聞かなきゃ、というほどの話ではありません。
速水奨ががんばって憑依体質を演じているのが、聴きどころといえば聴きどころ。
結局濡れ場を聞かせるためのCDなのかな、とも思います。
兼人さんと速水奨のベッドシーン、じゃないや、ジンとアリスのベッドシーンは、
煩悩全開になれます。でも、喘ぎ声とか、ちょっと息が抜けると、
どっちの声なのかよくわからなくなってしまう。
速水奨の張りと、兼人さんの甘い色気だけが頼り。
声の高さが似てるからなあ。それにふたりとも、
静かに(ときどき思わず声をとぎらせながら)語り合ってくれちゃうから。
その点、スタンレーとアリスの濡れ場は過激です。声を荒げたり、
どなりつけたりするので、わかりやすくていい。声質も全然違うし。
でも、速水奨、もう少し色っぽくすればいいのに。
ちょっと堅すぎるような気がします。けっこうすごい濡れ場なんだぞ(比喩ではなく)。
アリスはあんなに簡単にスタンレーに屈していいのかなあ。
それも屈したという感じではなくて、当然のように服従した、というか。
速水奨と兼人さんの濡れ場で、コトの真っ最中で、
速水奨は兼人さんがいつになく激しく熱いので、
ちょっと苦しくなったと思ってくだせえ。(うわー、恥ずかしい)
速「やはり、怒っているのだな、ジン」
塩「んっ」(と動きを止める)「なぜ?」
速「スタンレーを夕食に招んだことだ」
という会話があるのですが、このときの「なぜ?」が、このCDでいちばんです。
原作の本に、原作者の山藍紫姫子のレポートが載っていたのですが、
それで山藍紫姫子が、中田和宏が気絶したかと思った、
というシーンもわかりました。
ジンが、味覚オンチのアリスがジンの作る料理をわかってくれない、と、
料理の素晴らしい味とできばえに驚いているスタンレーにこぼすシーンで、
速水奨が私もおいしいと思っていると言って、それに兼人さんが本当ですか、
と返す。それだけで、すごく濃密なのです。
その直後に中田和宏が、勝手にやっててくれよ、と割り込む。
しかしあの濃密な妖しさは、確かに気絶するかもしれない。
普通のことしか言っていないのに。
兼人さんって、すごいなあ。(結局そこに行き着くのか、鈴)
| 1. | ACT1 プロローグ | 1'41" | |
| 2. | スタンレー・ホークの事件簿 メイン・テーマ | 5'40" | |
| 3. | ACT2 トラブル | 9'16" | |
| 4. | ACT3 ターゲット | 4'51" | |
| 5. | ACT4 トライアングル | 13'41" | |
| 6. | ラヴ・トライアングル スタンレー×アリスター×ジン | 5'13" | |
| 7. | ACT5 フィールド | 9'00" | |
| 8. | ACT6 インスピレーション | 6'23" | |
| 9. | ACT7 クロス | 5'45" | |
| 10. | ACT8 ポゼッション | 9'47" | |
| 11. | スタンレー・ホークの事件簿 エンディング・テーマ | 4'50" | |
| 12. | スタンレー・ホークの事件簿 リプライズ | 2'31" |
| 原作 | 山藍 紫姫子(スタンレー・ホークの事件簿「小説花音倶楽部」芳文社) |
| Illustration | 本仁 戻 |
| Art Design | 北 定雄((株)コロムビアクリエイティヴ) |
| Design | 野田 薫 |
| Coordination | すたんだっぷ |
| 作・編曲・演奏 | 岩代 太郎 All tracks Composed, Arrenged, Orchestrated, Conducted & Produced by TARO IWASHIRO for It's 019 |
| Recorded & Mixed | 後藤 昌司 |
| Coordination | 大野 祥孝(新音楽協会) |
| CAST | スタンレー・ホーク | 中田 和宏 |
| アリスター・ロスフィールド | 速水 奨 | |
| フランク・サイト | 鈴木 琢磨 | |
| ルイス・クェンティン | 中原 茂 | |
| ジム・ウィルスキー | 藤城 裕士 | |
| シンディ | 小山 裕香 | |
| ジャン | 阪口 大助 | |
| ニコール | 坪井 智浩 | |
| ヒューム教授 | 大友 龍三郎 | |
| リエット・アダムス | 巴 菁子 | |
| バート | 堀本 等 | |
| ウェンディ・ハリガン | 丹羽 紫保里 | |
| キャシー | 菊地 貴子 | |
| ジン・ミサオ | 塩沢 兼人 | |
| キャスティング協力 | 81プロデュース | |
| STAFF | 脚本 | 平 詩野 |
| 音響効果 | 金丸 孝彦 | |
| 音響プロデューサー | 中野 徹 | |
| 録音調整 | 住谷 真、伊藤 恭介 | |
| 録音 | 佐竹 徹也 | |
| 音響制作進行 | 谷本 順子 | |
| 録音スタジオ | 東京テレビセンター、スタジオ・エコー | |
| 音響制作 | HALF H・P STUDIO |
ドラマ (株)インターコミュニケーションズ JLCD-004 95.5.3発売 2980円
「ホップ」を書いたら、「ステップ」を書かないといけませんね。
って、何のことだかわからないかも。あまりにかけ離れていて。
実は、この作品が、鈴の「ステップ」なんです。
「ホップ」でドラマCDの存在を知った鈴は、
「ホップ」がきっかけの某所で知り合った友人に、
こういうジャンルのCDの存在も教えてもらいました。
何にしても、好奇心旺盛なだけがとりえ。
ドラマCDというものがけっこう気に入っていたこともあって、
いくつか聴いてみました。
そして、この「THE DARK BLUE」に出会ったとき、鈴は、
もしかするとこれで人生が変わるかもしれない、という、
実に正しい予感を抱いたのです。
内容が好きとか、そういうこと以前に、
主人公のオリヴィエ・プランタジネット役の声に「恋」してしまったのです。
ただ声を聴いていれば、それだけで幸せ。
実を言うと一度、半狂乱になりかけました。自分が、ある人の全体ではなく、
部分を好きになる、ということが信じられなかったからです。それも、よりによって、
相手が塩沢兼人という声優の声だ、ということも、とてもショックでした。
だって、あれだけキャリアの長い、出演作品の多い人を好きになったら、
根がコレクターの鈴は、いったいどうしたらいいんです?
結局こんな事態に陥ってしまいましたけど。(苦笑)
ちっとも「THE DARK BLUE」の感想になっていませんね。
実は、鈴は、この作品は無心では聴けないんです。どうしても、
今でも恋い焦がれる声を聴いてしまい、作品自体を聴くことができません。
話の起承転結が甘い
(これは兼人さんがブックレット掲載のインタヴューで言ってらっしゃること)、とか、
こんなにベッドシーンばかりでいいの(いきなり兼人さんの喘ぎ声で始まるんですよ)、
とか、そんなことはどうでもよくなってしまっています。
ちょっと甘えた声、苦悩する声、泣き声、どれもとてもとてもとても好きなんです。
原作、ですか? 角川ルビー文庫から出ています。表題作の「THE DARK BLUE」と、
その続編の「THE DARK SHADOW」が収録されています。
作品としては、続編のほうがよくできているように思います。
| シーン1 | 14:53 | |
| シーン2 | 9:07 | |
| シーン3 | 6:33 | |
| シーン4 | 14:11 | |
| シーン5 | 8:05 | |
| シーン6 | 9:48 | |
| シーン7 | 6:26 |
| 声の出演 | オリヴィエ・シェリダン | 塩沢 兼人 |
| ロキシー・アルカード | 玄田 哲章 | |
| ヘーゼル・ヴェイ | 堀 秀行 | |
| 他に | 増谷 康紀、幸野 善之、土門 仁、柳瀬 洋美、矢津田 美恵子 | |
| 原作 | 山藍 紫姫子 | |
| 脚本 | 平 詩野 | |
| イラスト | 舞方 ミラ | |
| 演出 | (株)ジャランインターナショナル | |
| デザイン | Shin-D | |
| 音楽・効果 | 佐藤 啓 | |
| 録音スタジオ | スタジオ ミュー | |
| 編集スタジオ | スタジオ ミュー | |
| 制作協力 | (株)青二プロダクション、(株)マガジン・マガジン、(株)芳文社 | |
| 制作 | (株)ジャランインターナショナル | |
| 発売元 | (株)ジャランインターナショナル | |
ドラマ (株)インターコミュニケーションズ JLCD-011 96.11.23発売 2980円
鈴はこの話、大嫌いです。
原作も買って読みましたが、1回読んだだけで、友だちにあげてしまいました。
けど、「このお話大好きなので、
CDになるのが楽しみです」と言っていた人がいることも知っているので、
読む人によっては、そうは思わないのかもしれません。
鈴が嫌いのなのは、主人公がかわいそうだから、ではないのです。
登場人物がみんな「自分が被害者だ」と思っていること。
他人のせいにしかしなくて、自分で何とかすることをまったく考えていないこと。
鈴はせつないのが好きですから、どうしようもない話は好きなんですけど、
この話はどうしようもないんじゃなくて、どうもしないから嫌いなんです。
兼人さんが出ているのなら、どんなに嫌いな話でも聴かねばなるまい、
というわけで、聴きましたが、やっぱり嫌いですね。
確かに兼人さんの役は高圧的で金持ちでインテリなので、
兼人さんにぴったりなのですが、話自体はやっぱり好きになれません。
ちょっとしばらく、こういう傾向のCDを聴きたくなくなったくらい嫌いです。
けど、声優には、感心しました。話を聞いていると嫌な気分になってくるので、
声優の演技のほうを気にして聴いていたのですが、さすがです。
飛田展男がいちばん恐い。得体が知れなくて。
森川智之は、いちばん役に合っていました。とってもいい感じでした。
堀内賢雄は、なんか、途中で「お嬢ちゃん」って言いそうで、
どきどきしてしまいました。「アンジェリーク」で堀内賢雄がやっているオスカーが、
「お嬢ちゃん」って言うプレイボーイなんです。
結局、あの役は土建屋のオヤジですよね。それにしては、
ずいぶん高潔な感じがしたのですが、
礼儀正しくてスマートな裏に見えかくれする粗暴さが、
最初から本当に言葉の端々に表現できていて、すごいな、と思いました。
後半は粗暴さをまる出しにするんだけど、今度は粗暴さの裏に、
単に粗暴なだけでなくて、
計算し尽くした実業家の冷めた目が隠されていることがわかる。
兼人さんは、いつにも増して嫌なやつ。
でも、それだけだったので、ちょっと失望です。
三木眞一郎は、たいへんだっただろうと思います。
いちばん難しかっただろうと思うもの。
でも、ついつい鈴は、一眞(三木眞一郎の役)を兼人さんがやったらどうだっただろう、
と想像してしまうのでした。ご本人は真澄(飛田展男の役)が面白そうだ、
と言ってらしたけれど、それじゃフツーすぎます。
(何がフツーなのか、はあまり深く考えないでね。)
鈴は、兼人さんの泣き声の演技をかなり高く買っているのです。
一眞は泣くことが多いので、兼人さんだったら、と考えてしまったわけです。
初回特典付録の小冊子には、
出演の声優たち(三木眞一郎・森川智之・飛田展男・塩沢兼人・堀内賢雄)と、
原作者(山藍紫姫子)の対談が掲載されていました。
なかなか興味深い内容でした。
| SCENE 1 | プロローグ | 1:41 |
| SCENE 2 | 二人の義弟 | 9:13 |
| SCENE 3 | 予兆 | 4:15 |
| SCENE 4 | インセスト(近親相姦) | 6:47 |
| SCENE 5 | 契約 | 6:29 |
| SCENE 6 | 愛奴 | 18:11 |
| SCENE 7 | 五角形の複合 | 11:45 |
| SCENE 8 | エピローグ(薔薇色の人生) | 14:35 |
| TOTAL | 72:53 |
| CAST | 横田 一眞 | 三木 眞一郎 |
| 右月 皓一 | 森川 智之 | |
| 大鳥 真澄 | 飛田 展男 | |
| 右月 征治 | 堀内 賢雄 | |
| 大鳥 登 | 塩沢 兼人 | |
| 峰村 貞夫 | 中田 雅之 | |
| 看護婦 | 久保田 恵 | |
| STAFF | 原作 | 山藍 紫姫子 |
| 脚本 | 平 詩野 | |
| イラスト | 本仁 戻 | |
| 演出 | 阿部 信行 | |
| 制作 | 是安 浩二 | |
| 効果・音楽 | 佐藤 啓 | |
| デザイン | 小西 彩桜理 | |
| 制作協力 | (株)芳文社・(株)ぷろだくしょんバオバブ | |
| 録音スタジオ | アバコクリエイティブスタジオ | |
| 編集スタジオ | スタジオミュー | |
| 企画・制作・発売元 | (株)インターコミュニケーションズ |