|
|
16年前、母を事故でなくし、ひと月前には父をも交通事故で失った緑。
唯一の肉親である兄とは16年の間音信不通。
残ったものは、父の経営していた小さなクラブだけ。
緑は父がたったひとつ残してくれた店を、自分の手で守ろうと決心する。
しかし、何といっても水商売、素人が続けるより売ってほしい、
と申し出る不動産業者の執拗な申し出をようやく振り切ったところに、
正体不明の若いバーテンとダンサーが転がり込んで来る。
先代オーナー(緑の父)の頃からクラブで働いていたホステスたちの助けを借りて、
「CLUB evergreen」はどうにか営業を続ける。
「家族」を失ってしまったがゆえに、
行方の知れない兄をひたすらに追い求める緑。
「おにいちゃん、どうして帰って来てくれないの?」
「おにいちゃん、近くにいるならどうして助けてくれないの?」
「緑、下を見て歩くなよ。地面には何も落ちちゃいないぜ。」
あくどい手を使ってでも店を奪い取ろうとする不動産業者。
周りの人間に不信感をつのらせ、兄の姿を探し回るばかりの緑に、
闘う力を与えてくれたのは、やはりクラブの仲間たちだった。
緑は、自分にとっての「家族」が誰であったかに気づく。
死してなお彼女を守り続ける母の想い、密かに隠してあった父の夢、
そして、新たに得た「家族」たちの愛にかこまれ、
緑は新しい生活へと、新しい一歩を踏み出すのだった。
その1・鈴が感じたことあれこれ。
初めて見るような気がする、「満天のセット」。(笑)
今まで観た公演では、舞台にほとんど何もなく、
持ち運びできる程度の小物と役者の動きだけで、
まわりの情景すらイメージさせていたし、
何もないのに、ちゃんとその場その場に合わせた風景が見えていた。と思う。
思わず「すごーい、舞台だあ」と、
訳のわからないことをつぶやいてしまった。(爆)
ここは素直にミーハーになって。(笑)
やっぱり、真澄のインパクトは、他の登場人物の比ではなかっただろう。
ある意味、反則だよな。最近はそんなに珍しいというわけではないとはいえ、
設定自体が衝撃的で、キャラクターがどうこう、と言う前に、
それだけで印象に残ってしまうのだから。しかも、あろうことか、平川さんだし。
美羽子の正体を知ったときにもかなり衝撃的だった。
というか、正直本気で、(最初の回は)呆然とさせられた。
キャラクター的にインパクトがあった、という点では、真澄に勝るかもしれないけれど、
でもやっぱり、あとあと語り継がれるのは、真澄なんだろうなあ。
鈴は、初回を観たときから、「オーナーは座長だ」と思っていた。(大笑)
だって、「犬って大事なものを奥にしまい込むでしょ」。
チャウチャウ(じゃなくなっちゃったけど(爆))が必死に穴を掘って、
コーヒーサーバを入れた箱を地面に埋める情景を想像してしまっていた。しかし、
最終公演のカーテンコールで、その甘い夢は無惨にもうち砕かれるのであった。(笑)
今回のカーテンコールも、とてもおとなしく、ほとんど何事も起こらないまま、
最終日の昼の公演を終了。こんなに心静かなカーテンコールは、
第5回公演以来だなあ(当時はあれでもすごいと思ったものだった)、と思いつつ、
最終公演も幕、カーテンコール……あああああああーーー、やっぱり。(爆)
でも、大笑いさせていただきました。神田さん(じゃないけど)、
evergreenに押し入って来るコワイお兄さんたちを、
あんな飄々とやっつけちゃうなんて、あなたはやはりタダモノではない。
おとなしかったのは、第5回公演だけなんですか?(鈴はそれ以前の公演を知らない)
座長がいらして、檜山さんが友情出演されてたから?(笑)
満天の方々はしきりに「初めての試み」(脚本が初めて、ホールも初めて、
セットも初めて、などなど、初めてのことが多かった)を強調していたけれど、
終わってみれば、「これこそ満天」と思える、満天らしいお芝居だった。
「家族」「大切なもの」「希望」、満天のお芝居を見終わった後に必ず感じる、
「素敵な時間だったなあ」だけでなく自然に「明日」を見るような気持ち。
突飛な設定でセンセーショナルな展開にしようと思えばできたのかもしれないが、
それよりも、「非現実」をかすませてしまうほどの「現実」の向こうに、
「人間の心」を通して見える非現実を覗かせることで、「人間」に戻って来る。
だから、アクロバティックな話だったという印象は薄く、
やっぱり「満天の星」だったんだなあ、という、何の情報量もない、
でも確実な感想に尽きてしまうのかもしれない。
その2・この公演をご覧になった方のレポートページ。